計算書類と財務諸表

  • 2020.06.29 Monday
  • 16:13

前回は、所轄庁告知による注記フォーマットについての確認結果をお知らせしました。実は筆者は、それ以前から興味を持ち、機会があれば各所轄庁の告知の実際を調べてみたいと思っていた事柄があります。それは、「計算書類」と「財務諸表」の使い方です。

 

ご存知のように決算書類について、NPO法第27条は活動計算書・貸借対照表を計算書類と称し、別に財産目録を挙げています。一方、NPO法人会計基準は第8項で活動計算書と貸借対照表を財務諸表とし、財産目録を加えて財務諸表等と称します。また、同基準第31項は、「財務諸表の注記」に記載すべき項目を掲げています。どちらを使ってもいいのですが、所轄庁はそうしたNPO法と会計基準の用語の違いに対し、どう対応しているのか?に興味があったのでした。

 

前回同様、7大都市(東京、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡、神戸)の所轄庁ホームページを覗きました。提出書類リストなどにはその記載がなく、実際にはそれぞれの「手引」を参照しました。「官」の世界では、法の用語が優勢だろうと予測したとおり、ほぼ全部が「計算書類」派でした。 1所轄庁のみ注記の表題が「財務諸表の注記」だったものの、「重要な会計方針」の文章が「計算書類の作成は・・・」で、用語が首尾一貫していないのが少々残念でした。

 

「計算書類」は法人内部のガバナンスに用いることが多いそうですが、NPO法人会計基準は、「外部報告のための会計報告」というニュアンスを強めるために「財務諸表」を用いたそうです。そのことを知り、NPO法人会計の役割・使命からは、順当な考え方と思ったものです。

 

用語の目的を知って以後、注記の表題は「財務諸表の注記」、「重要な会計方針」は「財務諸表の作成は、 NPO法人会計基準・・・・によっています。(・・・・は、公表日、改正日、協議会名)」と記載するのが自然体のような気がしているのですが、皆さんはいかが考えられますか?

注記フォーマットの比較

  • 2020.06.15 Monday
  • 11:47

昨年4月に設立したNPO法人から、決算に関する質問がありました。事業年度をまたがる助成金の会計処理に関してでしたが、送られてきた注記案が気になり、いくつかアドバイスしました。

 

一つは「1.重要な会計方針」の第1行目です。

「計算書類の作成は、NPO法人会計基準(2011年11月20日 NPO法人会計基準協議会)によっています。」と書かれていましたが、正しくは(   )の中が、(2010年7月20日 2017年12月12日最終改正 NPO法人会計基準協議会)です。 そうお伝えしたら、市が提示している書式例を見て作ったが?と不思議そうでした。

 

そこで実態を調べてみようと、7大都市の所轄庁のホームページに掲載されているフォーマットを調べてみました。東京、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡、神戸です。すると面白いことがわかりました。 注記を事業報告書類の一つとして、財務諸表に肩を並べて表示しているのは3所轄庁のみで、多くは「手引」の中に収録されています。また、(   )内に会計基準成立日と最終改正日を記載した正しい表記は2所轄庁のみで、多くは旧スタイルにより一部改正日が表示されています。

 

中には「計算書類の作成は       によっています」と、日付等の記載を法人任せの所もあります。 なお、注記は10項目(記載義務あり7、義務なし3)あり、その第9項目目「役員及びその近親者との取引の内容」は、最終改正時に要記載事項が改正されました。それが各所轄庁のフォーマットに反映されているかを調べたところ、正しく反映しているのは2所轄庁のみでした。

 

上記の各比較において、福岡市は全てをクリアされています。ご担当者、関係者の皆様のきめ細かい気配り、ご尽力の賜物と、心より敬意を表します。

給付金・助成金手続きの簡略化

  • 2020.06.01 Monday
  • 09:11

国内の新型コロナは、いったん鳴りを潜めた感がありますが、世界的には570万人に達したとのこと、ほぼ兵庫県の人口に匹敵する感染者数の膨大さに驚きます。 経済落ち込みが懸念される一方、救済策としての持続化給付金と雇用調整助成金(特例)のニーズがかなり高まっている模様で、当センターへの問い合わせも増えています。

 

内容の概略は以前お伝えしましたが、手続きがその後簡略化されました。 例えば、雇用調整助成金は、従業員が概ね20人以下の小規模事業主は申請手続きが簡素になり、休業する場合は申請書4枚と添付書類だけになっています。計画書等の書類は不要になり、申請はかなり楽になったと思われます。

 

また、持続化給付金は、月の売上げが前年同月比50%以上減少すれば申請でき、該当月の売上台帳等及び前年の確定申告書の控えを提出する必要があります。しかし、NPO法人や公益法人等は、確定申告書の代わりに前年の年間収入が分かる書類でよく、前年の月平均額と当年の該当月の額との比較で可とされます。

 

ある法人から質問がありました。「前年の年間事業収入150万円、今年4月はコロナの影響で収入0円です。申請できるでしょうか?いくらもらえるでしょうか?」 給付額の算式は「前年の年間収入−対象月の収入×12か月」です。給付額の上限は200万円なので、「150万円−0円×12か月=150万円」が給付されると思います。 (あくまでも公開されている基準に則った筆者の理解です。質問いただいた方には、くれぐれも担当窓口で再確認していただくようお願いしました。)

総会の工夫

  • 2020.05.18 Monday
  • 08:18

猛威を振るった新型コロナも新規感染者が減り、いったん終息に向かっているように見えます。

 

まだ警戒水域にある8都道府県を残し、39県で国の緊急事態宣言が解除されましたが、安全宣言が出たわけでなく、おっかなびっくりの新ステージ移行かと思われます。   

 

3月決算法人では決算業務と並行して、総会をどんな形で?と悩まれるところも少なくない模様です。当ホームページでも「三密をさける総会」「みなし総会実施の手順」などの情報を載せましたが、先日は「総会が遅れるため役員が任期切れになる」ことが心配というご相談がありました。

 

この法人は、定款に役員の任期を総会まで伸長できる規定を定めているので、もちろん心配無用です。定めていなくても一般的に、辞任又は任期満了後に後任者が就任するまでは、その職務を行う義務があります。

 

役員任期が切れても、総会で次期役員を選任する義務は残ります。 「三密」を避け、場合によっては「web会議」を模索しつつ、そうした役員改選の時期が巡ってきた法人も多いはずです。

 

そしてさらに、今年度の活動量低下に伴う収益減など、例年にも増して検討すべき課題が多々あるのではないでしょうか。 少人数で密度を浅くというニーズがありつつ、むしろ「密」な議論を要するのが実態というような気がします。

 

つまり、今年の総会は、例年と比較にならないぐらい難しい運営を要すると思われます。各法人で企画・工夫されて、実のある総会になることを期待いたします。

 

そこで皆さまにお願いです。いいアイディアがあれば、ぜひ当方にお教えください。工夫例に学ばせていただき、好事例は当ホームページで広く共有させていただければと思います。(その場合、ご希望により法人名は伏せさせていただきます。)

 

ゴールデンウィークに思うこと

  • 2020.05.04 Monday
  • 10:15

 

今年のゴールデンウィークは誰かが別名称を提唱するのでは?と思っていましたが、今のところネットでそうした話題はないようですね。

 

「ゴールデン」ではあり得ず、何か気の利いた言い換えでもあればと思ったものの、お互い、そんな悠長なことに時間を費やすゆとりなんてないですよね。

 

毎年、決算事務が最盛期のこの時期、当事務所では会計担当の皆さまからの電話の増え方、お急ぎの様子で、ご苦労のほどをひしひしと感じます。

 

世間ではテレワークが広がる中、会計業務は在宅では難しい部分も多く、ご担当の皆さまのご苦労は例年の比ではないのでは?と心配しています。ぜひ疲労をため込まないよう、健康第一をモットーにお過ごしいただければと思います。

 

内閣府から新型ウィルスの影響による事業報告書等の提出遅延は所轄庁と相談するようにと、事実上許容される方向での見解が出ています。

 

そのため、決算業務のスピードダウンを考慮される団体もあるかと思われますが、耳に入ってくる限りにおいて、そうした法人は多くない模様です。

 

「どうせやるべきことだから」と、例年のペースで取り組む人たちが多いことに感心しています。決算が終わっても、イレギュラーな業務体制が続く団体が多いと思われます。

 

特に資金繰り、公的支援金等の申請や受給手続き、融資の申し込み等々で、会計担当者が出番の場面もあるかと思われます。場合によっては休業命令に伴う事務など、従来想定もしなかったことを手がける必要も生じかねません。

 

そうしためったにない新たな事態との遭遇は、実は力をつけるまたとない機会です。やるべきことに前向きに取り組まれる皆さまだから、珍しい学習材料が出現したことを前向きに捉え、経験を増やすことで、仕事の幅と深さを増して行かれることと期待しています。

新型コロナウィルス対策の給付金・助成金

  • 2020.04.19 Sunday
  • 17:26

皆さま、

新型コロナ禍でさまざまなご苦労をされていると思います。

経営的に大きな痛手を被られている法人も少なくないのでは?と、

同じ渦中にある当センターではありますが、

大いに心配・憂慮しています。

国の救済策は、世帯への30万円から1人当たり10万円に

などと迷走気味ですが、当センターにも法人への政府の

対策についての相談が舞い込みます。

 

すでにご存知の方が多いでしょうけど、

皆さまのご興味ありそうな給付金・助成金について、

簡単にご紹介します。

 

 

明けない夜はない

  • 2020.04.06 Monday
  • 13:16

世界中が新型コロナウィルスの脅威にさらされる中、

爛漫の春が訪れているのに、どうも気分が高揚しません。

個々人の生命の安全がおびやかされるだけでなく、

世界の経済がどうなるのか、人々の生活がやっていけるのか、

まったく五里霧中の心細い思いがします。

 

折しも新年度のスタート時期、今年の新入生にも、

社会人1年生の若者たちにも、気の毒な門出になりました。

どうか負けないで、凛々しく発進していただきたく、

いえ、新人だけでなく誰もが、これから続くであろう暗雲の

トンネルにへこたれないで、励まし合いながらくぐり抜けたいものです。

 

京都大学の山中伸弥教授が言われています。

「新型コロナウィルスとの闘いは短距離走ではなく、

1年は続く可能性のある長いマラソンです。」

そして、皆を励ます次のようなメッセージも、併せて述べられています。

「桜は来年も帰ってきます。人の命は返ってきません。」

この週末、関西は天気もよく、満開の桜を楽しみたいと思うのが

人情だったことでしょう。でも、山中教授のおっしゃるとおりです。

命と引き換えになりかねない、そして身近な人まで危険にさらしかねない

花見をするべきでなく、さらに言えば、今後も外出はできるだけ

避けるべきなのです。 シェイクスピアの作品中の言葉です。

「明けない夜はない」。でも現代人の私たちは、

待てば明けることを知りながら、一晩待つことさえ

苦手になっているのかもしれません。

爆発的な数の感染者を出さない。急ぎ開発している

ワクチンの完成さえ待てば、人類は新ウィルスに打ち勝てる。

分かっていながら、危険を冒して街に出る。

もう少し忍耐強く、そして賢くなる必要がありそうです。

 

今回は、「会計」から外れてごめんなさい。

今、最も大切と思うことを、書かせていただきました。

 

走りながら考える

  • 2020.03.22 Sunday
  • 16:31

新型コロナウィルス、嫌ですね。

地域によって緊迫度が異なるでしょうけど、

筆者の住む兵庫県は感染者数がどんどん増え、

3月20日に100人を超えました。

ご近所の噂では自宅近くでも感染者が出たそうで、

このピッチで増えれば200人到達もまたたく間では?

と懸念します。

世界中で猛威を振りまくウィルスですが、

感染の広がりと共に経済の悪化はどこまで?と、

空恐ろしく感じます。

そして、その影響をもろに受ける市民生活の先行きは?と

不安が募るばかりです。

どうも気持ちが滅入る話題ですが、その中でも、

いま振り返って「よかったなー」と思えるのが

2月実施のNPO法人会計力検定です。

少し時期がずれていれば実施できなかった?と、

冷や汗ものでした。

次は8月、「実践」検定の実施です。その時に状況が

どうなっているか?ですが、ぜひそれまでに蔓延が収束し、

つつがなく行えることを期待したいものです。

 

一方、3月末が目前に迫りました。

感染拡大による総会遅延や事業報告書等の提出猶予の

特例措置はあるものの、3月決算法人の決算作業は

例年通りの所が多いと思われます。

当センターは、会員法人の決算サポートに全力を注ぎつつ、

8月検定への準備活動にも力を入れて行きます。

検定準備では現在、実践テキストの分冊化が進んでいます。

従来の上下2巻は分厚く重いので、

扱い易くするための企画です。

当初はそうした所まで気配りができず、

既購入の皆さまにはご不便かと存じますが、申し訳ありません。

このことに限らず、代表以下スタッフ一同、

今後とも受験される皆さまにプラスになることを

「走りながら考える」スタンスで取り組んで行きたいと考えています。

 

採点結果

  • 2020.03.08 Sunday
  • 13:10

先日行われた第3回NPO法人会計力検定の採点結果が出ました。

一般社団法人NPO会計力検定協会のブログでご覧いただけます。

合否結果は、3月末〜4月初め頃に郵送で届きますので、

受験された皆さま、どうぞ楽しみにお待ちください。

今回の検定に関し、関係者の一人として気になったことがあります。

 

前2回に比べて合格率が減り、平均点が下がったことです。

下表は、全3回の合格率と平均点です。

 

 

 

 

いずれの数値も年々漸減しています。理由は不明ですが、

初回が高得点すぎる(?)ところに原因の1つがあるのかも?という

見方もあるような気がます。

第2回目も含め、受験者の皆さまのすごい頑張りにより、

素晴らしい結果が出ています。そのデータを見て、

問題がかなり易しいのだろうと誤解された方がいらっしゃったのでは?

という憶測です。間違っていたらごめんなさい。

 

ただ今回、筆者は東京会場で試験に立ち会い、試験終了時、

数人の方に感想を尋ねました。その際のご回答を思い出します。

「まあまあできた」方のほか、

「テキストをきちんと勉強していれば解ける問題だった」

「そう難しいとは思わないが、もう少し勉強しておけばよかった」

というご回答があり、ちょっと微妙かも?と思ったのです。

 

その方々が、ぜひ合格されていることを期待しています。

 

ほめて育てる

  • 2020.02.23 Sunday
  • 10:34

2月16日(日)

第3回NPO法人会計力検定(入門・基本)が

全国6か所で実施され、筆者は東京会場に出向きました。

遅刻の方や受験票持参を忘れた方があったり、

問題の印刷ミスが1か所見つかったりなどで

一寸ハラハラしましたが、全国的にもまず順調かつ無事に

終わりました。

 

東京会場は中央区の十思スクエアでした。

江戸時代の伝馬町牢屋敷跡であり、安政の大獄に

連座して処刑された吉田松陰終焉の地です。

幕府ににらまれて処刑された罪人とはいえ、

松下村塾で維新の志士、明治の元勲を多く育て、

奇跡の教育者と言われた人です。

29歳での処刑はいかにも無念だったろうと思いながら、

敷地内の辞世の句碑に手を合わせたのでした。

司馬遼太郎の著書や講演録によれば、身分の低い子や、

たとえ“はなたれ小僧“に対してでも、丁寧に語りかけ、

敬語を使った人です。

子どもたちから学ぼうという姿勢の表れだったのでした。

子どもたちは心から喜び、先生の一言ひとことに真剣に

耳を傾けたことでしょう。

司馬はまた、

「一人ひとりの門人について、その才能を、識見を、

気性を、とにかくほめた。ほとんどが良い評価を

書いてもらっている」と語っています。

「だから、みんなが松陰をかつぎ、その死後も、

維新後も、かつぎ続けた。誰もが松陰の弟子だったことが

自慢だった」そうです。

 

「ほめて育てる」は、人を伸ばす秘訣と言われます。

子どもの教育も職場の人材育成も同じです。

NPO法人会計力検定も、会計担当者をほめる目的のもと

創設されました。チャレンジし合格することで周囲からほめられ、

自分でもご自身をほめながら力をつけていただくことを願っています。

 

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